2014年5月9日金曜日

分娩室へ (24週+2)

ものの10分程度だろうか、大学病院に到着。そのまま準備されていた分娩室へ運ばれ、分娩室のベッドに移動させられます。
救急隊員から申し送りがあるのだが、3名中2人が状況を正確に把握できていなかった模様で、話し合いの様になる。「胎盤が出ていると聞いた気がするんだけど。。。」「私も」「いや、胎盤じゃないでしょう、羊水じゃない?」未だ妊娠・出産経験の無さそうな二人だ、状況が分かりにくくても仕方がない。大学病院の助産師が、「胎盤?!」と驚きながら、かかりつけの医師から渡された詳細を読む。状況が把握できた様子。救急隊員は暫くして部屋を出ていった。少し遅れて、夫も登場した。

実はここから先はあまり順番を追っては覚えていない。
病院の服に着替え、浮腫み防止のストッキングをはかされる。頭を下にして足・お尻が上になる様にベッドを傾ける。CTG(NSTの事)で陣痛と胎児心拍数を調べながら、血管確保の点滴針を差し込む。救急隊員は手の甲につけたが、長期間必要な点滴となった場合、手の甲では手作業の邪魔になるので、腕にしたいとの事で、差し直しを提案される。OKするも、、、何故か中々成功せず、何度も何度も失敗。腕が穴だらけ。最後には麻酔科医を呼んできて試みたが、麻酔科医も2度失敗。やっとの事で血管確保成功。帝王切開に向けて、書類手続き、尿道カテーテルが取り付けられる。これの痛い事と言ったら。。。

医師の検査もあった。かかりつけの医師の診察通りか調べるとの事で、腹部超音波検査。やはり子宮口が開き、羊水が産道に出ているとの事。
まずはいくつかの薬を服用させられる。いずれも子宮の収縮を抑える為のもの。白いラムネ状のもの、黒いカプセルに入ったものを噛む。それから前回もお世話になった、血圧の薬、Adalat。これで様子を見ると共に、これから小児科医が来て説明がある事を告げられる。今のところ食事も水分も禁止。

暫くして小児科医が2名登場した。
第一子の際も小児科医の説明があったので、似たような説明を予期していたのだが、メッセージは異なるものだった。「妊娠期間はどれくらいか知っているか。」「40週」「現在24週+ 2。つまり16週早い。これが大きいと思うか」 そんな下りの後での説明はこういうものだった。
当病院では、単なる蘇生を目標としていない。我々の目標は質の高い生活である。24週で生まれるという事は、蘇生できたとしても多くの障害が残る可能性が高いという事。生まれた子をどうするかを決めるのは親である。
病院側は25週を過ぎていれば、蘇生の為のあらゆる手段を尽くす。24週の今、どうするかを決めるのは親。万一蘇生の為に全てを行うと決めれば、我々は蘇生の為のあらゆる手を尽くす。そうでないという選択もあり、その場合は蘇生措置はとらず、赤ちゃんを包んで連れてくる。 注意すべきは一度決めた事は後で覆せないという事。諦めると決めて、分娩中にやっぱり蘇生させて欲しい、と言っても、その準備は出来ない。生まれた後に病院で確率された基準をもって、赤ちゃんの状態を観察し、医師としての助言・提案は出来る。

生まれる赤ちゃんは何としてもその命を保つべく尽力されると信じていた私。この話は衝撃的過ぎた。そのせいかはわからないが、運ばれてきた時に全くなかった子宮収縮がかなりの強さで発生する。

蘇生の為の全てを尽くすと決めた場合、まず行う事は肺機能の成長を促進させる為のステロイド剤を投与する事。2度に分けて投与され、2本目は24時間後に投与。48時間で終了となる。まずの第一歩は48時間持たせる事となる。

第一子の際には特に我々の見解も無く、ステロイド剤の投与が開始されたのだが、今回は投与を決めるのは私たち、親という事らしい。私は迷い無く、「蘇生に全力を注いでください」と言ったものの、夫は迷いがある模様。何やら的を得ない話を医師に伝える。医師としては、蘇生と決めたら1分でも惜しいのだが、二人で話し合いが必要なら、と45分のタイムリミットをくれて席を外した。

正直、夫は障害のある子供を育てていく自信が無いという事だ。それは私も理解できる。が、今どういう状態なのかも分からない。とりあえずやれるだけの事はする事に、何の異議があるのだろうか。夫は困った様子を見せながらも、最終的には私の希望を、と決めてくれた。

ステロイド投与に際して、夫なりの懸念もあった様だ。赤ちゃんへの影響。医師によると、考えられることは、後に多動症やADHD 等。この投与を出来るだけ後まで待つ、という選択肢も親にはあるらしいが、万一出産になった場合、この処置をしているとしていないでは障害の度合いも異なるという。何よりもこの薬のクリティカルな点は、投与してから48時間をすぎないと効果が無いという点である。

傍にいた助産師も助言をくれた。「私があなただったら、ステロイド投与します。今の状況、あなたの年齢などを考えても、 ステロイドのマイナス面よりもプラス面が遥かに勝っているから」

ステロイド投与を決め、即医師に連絡をとってもらう。直ぐに医師が現れ、決断を確認、準備に入った。第一子の際は腕にしたらしい注射は太腿の腰近くに打たれた。これが痛い。こんなに痛いものだったとは。。。

まずは24時間、そして48時間持たせる事が当面の目標です、といいつつも、帝王切開の準備も進められる。 医師が来て、帝王切開の方法、リスクについての説明。麻酔科医によるリスクの説明。似たような説明が、入れ替えやってくる医師らによってなされていく。
小児科医との話がストレスになったか、子宮収縮が始まってしまったが、服用した薬では収まらない為、点滴も開始されてしまった。今思えば、あの小児科医の話が無かったら、服用薬だけで大丈夫だった様な気もするのだが。。。

とりあえずは分娩室で待機する事になった。分娩が先か、48時間経過が先か、、、
通常の出産同様、担当の助産師がシフトでつき、至れり尽くせり世話をしてくれる。
途中夫は帰宅し、息子を保育園から迎えて一緒に連れてきた。突然病院でベッドに横たわる母を見て、彼はどう感じたのだろう。頭の良い子なので、きっと理解はしてくれているだろう。
夜、夫は息子を連れて帰宅。私は一人分娩室で夜を明かす事となる。


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