私にはどうしても心残りな事があった。
キャリアを捨て(一時的に、、、)、半ば『日本を去る』つもりでドイツに来てしまった事は全く後悔していない。でも、そんな突然の行動を両親はどう思っていたのだろう。いい歳にもなったのだし自分の事は自分で決めればいい、ときっと両親も頭ではそう理解していたのだと思う。仕事を辞めた事、ドイツに行く事、について、彼らは私に何も言わなかった。
私が仕事を辞めたのも、ドイツへ行く事にしたのも、結婚が理由では無かった。目的はあくまでドイツ語を身につける事。
でもそれは色々な意味で、将来の為であり、その将来の設計図にパートナーである彼の事が無かったわけではない。まあ、本音を言ってしまえば、彼の事が無ければ、ドイツにドイツ語を学びに来ようとは思わなかっただろう。
そんな語学学校の学生の私が、ドイツで結婚する事になった。
両親の心境はどんなものなのだろう。それがとても気がかりだったのです。
私がドイツに発った時、両親は何も言わなかったが、いつかこうなる事はわかって送り出した筈。
そうはわかっていても、はるか遠くから、『結婚します』 『ついては入籍に必要な書類を入手して送って下さい』では、あまりにも両親に申し訳ない気がしたのである。私は田舎で育った事もあり、両親は伝統だとか風習を重んじる。私を大切に育てながら、いつか私がお嫁に行く日を考えては、きっと相手からの結婚の承諾を求める挨拶があって、両家の顔合わせがあって、結納があって、、、結婚式の前日には『これまでお世話になりました』の挨拶があって、、、と考えていたと思う。
そんな両親の思いには、何らかの形でこたえたい。
かといって、日本的に結納だなんだのプロセスをこれから踏むのも、何だか不自然な気がした。
そこで、私達は、両親へ彼から手紙を書くことにした。
手紙の内容は、彼に任せる事にした。私の両親だから、どう書けば両親が喜ぶ・納得するだろう、という事は想像できるが、たとえ出来上がった手紙がそれと離れていても、彼の言葉で彼の気持ちを書いて欲しい。
英語で出来上がった手紙は、実を言うと期待したよりも短くあっさりとしたもので、心の中では『え、これだけ。。。』と思ったのは、今でも彼には内緒。
これを私が日本語訳したのだが、彼はそれを手書きで書きたいと言う。
日本語など書いた事も無い彼が、私の書いた日本語をお手本に、手書きで日本語の手紙を書いた。小さな2枚の便箋に一生懸命書き写す姿を見て、私はとても嬉しかった。かれこれ2晩に渡り、5時間かけて書いた日本語の手紙。途中文字が抜けていたり、ちょっと可愛い手紙になったが、早速これを日本へ送った。
手紙が届いた事を知らせるメールが両親から届いたのは約1週間後。
勿論、直接会って挨拶するに越した事は無い。
でも、私たちの精一杯の気持ちは無事に伝わったようです。
これで安心して、結婚に向けて準備出来ます。
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